8/8 – 8/16 kohei kirimoto 『時空』exhibition


かつて輪島には、海の石を削って型とし、漆、米、水、布、木を用いた脱乾漆技法で、思い思いの形を創り出した職人たちがいたという。

すべての素材が持続可能であり、ほとんどの作業が人の手のみで行われた。

本展のために、その古の技術を復活させる想いで、盃をつくった。

素材の命や手に宿る人の心が忘れ去られかけている時代だからこそ、私は効率の対極にある無駄の魅惑に引き寄せられる。

すべての物質がもつ、ひとつひとつの物語が紡がれる瞬間に、私は寄り添っていきたい。

海で石に触れたとき、森で木に触れたとき、目を瞑り、その物質が見てきた風景に想いを馳せてみる。

何十年、何百年、何千年という膨大な時の流れを感じる。

過去に想いを馳せるという行為は、同時に未来を想像する行為でもある。

私たち人間を含めたすべての物質は、過去からの循環を経て、必然的にいまここに存在し、刻一刻と未来へ向かっている。

この世のすべての物質には、時空を行き交うひとつの物語が宿っている。

桐本滉平

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”これは何か、とても素晴らしいことが起きている”

彼の真っ直ぐな眼差しに、そう感じざるえなかった。


記憶を繋ぎ、人を繋ぎ、

情熱の炎をあかあかと燃やし走り出す。

なにか大いなる何かが彼を後押ししているようだ。

人類が漆という技法に出会い、使い始めたのは古くは縄文時代まで遡るという。

漆が塗られた木の蔓で作った腕輪が見つかっているそうだ。

そしてアイヌ語で 『ノト』とは、「元気にとんがった」と言う意味を持つ。

能登半島を、アイヌたちはそう呼んだというのだから、アイヌの古くからの測量の叡智に思いを馳せる。

地図で確認すると能登はまさにその通りの地形。その地にも沢山のアイヌ語由来の地名が残されているのだそうだ。

桐本滉平は話し出したら止まらない。

家業である漆をとおして、世界と出会い、伝統や歴史の再確認と理解が深まった桐本。

故郷を一度離れたことで視野が大きく広がった。

灯りの消えかけた伝統に危機を感じていたが、受け継がれた大切なものを

もう一度見つめ直し始めたとき、新たな風が吹き、持続可能な社会の姿が見え隠れしてきた。



すでに始まっている。

それは時空を超えた大いなる循環の中で。

この時を共に生きるために集まってきた仲間たち。

彼らを前へ前へと進ませているものは何だろう。

間違いなく桐本滉平はその壮大な物語の渦中にいる。


神話の時代に私たちは生きている。

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opening night

8月7日(金)午後7時から〜午後8時まで

京都嵯峨野にある厭離庵にて、当寺のご住職の玄果和尚と

桐本滉平と私の3人でInstagramライブにてトークショーを開催いたします。

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会期: 8月8日(土曜)〜 8月16日(日)

  午前11時〜午後6時 

個展期間中のお休みは13日(木曜日)

期間中、桐本滉平もSTARDUSTにてゆるやかに時間を過ごす予定です。

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喫茶はご予約にて承ります。

ランチはお休みですが、お茶とデザートやスープなどの軽食をご用意しています


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桐本滉平

1992年石川県輪島市出身。江戸時代から七世代に渡り能登の地で漆の仕事に携わる桐本家に生まれる。東京、パリにて商品の企画、販売の経験を経て、2020年より輪島にて漆を用いた創作活動を開始。

桐本滉平の相棒 ぐりとぐら